シャチ状球体

地獄の謝肉祭のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

地獄の謝肉祭(1980年製作の映画)
2.4
キングレコードのキャンペーン「死ぬまでにこれは観ろ!2022」のラインナップに入っていたので、購入検討のために視聴。

『死神ランボー 皆殺しの戦場』のようにホラーと反戦を掛け合わせた映画かと思ったら、『地獄の黙示録』やその他の人気作に便乗した粗悪なゾンビ映画だった……。

全体的にノリが軽く、PTSDの症状とゾンビの衝動性を重ね合わせているのはあまりにもモラルがない。
例えば、ロメロの映画だとゾンビのメタファーになっているのは一般大衆。それに対、この映画のゾンビは社会的マイノリティであるベトナム帰還兵なので差別的だし、演出も安っぽいのでそもそも恐ろしい存在には見えない。

フルチに『地獄の門』に出ていたボブと”ボブを殺すおじさん”が今作ではそれぞれベトナム帰還兵と警官の役をしており、脚本よりもショックシーンを見せることを優先した作りがそっくりだったりする。一応制作時期はこちらの方が後。
精神的に不安定になった帰還兵が警官と戦ったり元上官と対話するのはもろ『ランボー』で、精神病院から脱走するのは『カッコーの巣の上で』っぽい。それぞれの作品を雑に模倣している合間にいつの間にかゾンビの感染が広がったり広がらなかったり……。

水みたいな味のラーメンに具として色違いのゴムが複数入っているような、観た後に後悔するタイプのダメ映画なので、面白半分で再生すると精神を削られます。
シャチ状球体

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