しの田

白痴のしの田のレビュー・感想・評価

白痴(1999年製作の映画)
2.0
 浅野忠信の牛歩にイライラしどおしの2時間超。「文学的」な作品特有のゆったりと丁寧なテンポ感が薄気味悪さを助長し、ぼそぼそとした臭い演技によって、異世界の雰囲気に酔う。雰囲気やキャラ造形が良いが、時々とんでもなくダサくて少し退屈。
 しかしラストの爆発炎上は本当に派手でスカッとした。今までで1番の爆発シーン。しかし、突然のハリウッド映画のような派手な方向転換にはついていけず、爆発シーンもくどい。最後何が起こったのか全然わからん。
 生への執着が薄く破滅を求める主人公と、手負いの獣の様に生き汚い銀河、という対比は分かりやすい。そこに白痴はどのように関わってくるのか?魂だけで生きている様な主人公と肉体だけで生きている白痴が、火災の中で心を通わせる。そして主人公は生きる活力を見出す、というのが多分小説の概略。映画だとなんか銀河という要素、終末世界をどこまでも歩くイメージ、仏教的世界観とか加わってなんだか分からない。最後メタを出したのも謎。
 ただ、小説の映画化としてはかなり好印象。大胆にアレンジされていながらも、宅地の雰囲気がよく出ている。ラストシーンで濡れた布団を被る描写が私は好きだったから、布団を濡らして被らなかったところには不満が残る。
しの田

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