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千羽鶴の一のレビュー・感想・評価

千羽鶴(1953年製作の映画)
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昨日寝ちゃったのでリベンジ。やっぱりめちゃめちゃ面白かった。空の器のような森雅之に各々のやり方で執着する木暮実千代にも杉村春子にもほんとウンザリ。器の内側にはかつて二人の愛人であったモリマの父(清水将夫!お前が一番悪い)が映っている。モリマに「父と僕と区別がついていないのではないですか」と尤もな指摘をされても怯むことなく体ごとしなだれかかっていく実千代の直情もすごいが、かつての愛人の写真を部屋に飾り「死んだら棺桶に入れてもらう」と豪語する春子の顔には実千代への嫉妬心が張り付いていてソワソワしちゃう。ラスト近く、障子の向こうに影として現れジリジリと顔を出す春子は伊福部昭の音楽も相まって物の怪のようである。んで形見の湯飲みガシャーン!その後の乙羽信子とモリマが別れる海辺のシーンは、手前の乙羽と奥のモリマ二人が一直線に並ぶ素晴らしい構図のロングショットにうっとり。宮川一夫である。
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