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赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道のtomひでのレビュー・感想・評価

3.0
高畑勲監督作品という事で観てみる事に。1979年のテレビアニメの前半数話の再編集版。

突き抜けたアンの明るい性格、豊かな想像力、感受性、独白力、背後にある彼女の生い立ちが彼女をそうさせていると思うと切なくなる。オープニング、列車を見送るアンの笑顔、一瞬みせる曇った表情がいい。マシューとの別れのシーン泣きそうになる。

コンピュータが使えない時代のテレビ作品なので今では見られなくなった手描きセルアニメの表現を見る事が出来て楽しい。花びらが舞う様子、車輪と馬車の揺れの表現、蝋燭の照明で変わる部屋の明かり、カメラの移動、ズーム、それらは1枚セルの手描きだったり、セルを重ねての表現だったりするのだが、平面的な絵に奥行きを感じさせようとするその仕掛けが楽しい。

今の日本のテレビアニメはコンピュータが使える事でその表現が広がっている筈なのに逆にとても画一的になっているるような気がする。時間と労働力削減のためだけにコンピュータが使われて新しい表現の為には使われていないような…。最近テレビアニメを殆ど見ないので大きな事は言えませんが…(笑)

追記:明日7/2から国立近代美術館で高畑勲展が開催されるようなので興味のある方は是非。
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