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華麗なる激情のメルのレビュー・感想・評価

華麗なる激情(1964年製作の映画)
3.6
イタリアのルネサンス時代に彫刻家、画家、建築家として数多くの傑作を残している天才ミケランジェロ。
彼が時の教皇ユリウス2世から命じられてバチカン宮殿の中にあるシスティーナ礼拝堂の天井画を描くことになる。

自分は彫刻家であり画家では無いと突っぱねても教皇の命令には背けない。
そんなミケランジェロの制作過程での苦悩と、魂を込めて描く天井画の完成に至るまでのユリウス2世とのやり取りが描かれている。
芸術家とパトロンとしての教皇の関係が中々面白く描かれていた。

最初にミケランジェロの彫刻家としての作品が美術の授業の様に流れるのも結構感動ものでした。

電気も無い時代に仰向けになって、あの体勢で何年にもわたって描いたんだと思うとそれだけでもため息が出る。

天井画が完成したのはミケランジェロ37歳の時。
既に代表作の「ピエタ」や「ダビデ像」は制作されていて、その後60歳になる頃にはシスティーナ礼拝堂の祭壇の壁にあの有名な「最後の審判」を7年の歳月をかけ描くことになる。
教皇が変わる度にミケランジェロに色々な依頼が舞い込み、本当にやりたかった彫刻家としての仕事に時間を注げなかったのは残念だったのではないだろうか。

ユリウス2世はレックス・ハリソン。「マイ・フェア・レディ」のヒギンズ教授の印象が強過ぎて、調子の良い奴に見えてしまう(笑)

ミケランジェロはチャールトン・ヘストン。こちらも「ベン・ハー」など肉体派俳優の印象が強くてどうも芸術家には見えないものの、話が進むにつれて芸術家としての苦悩はよく伝わって来た。

「華麗なる激情」という言葉が意味不明で、単純に原題通り「苦悩と歓喜」の方がぴったりすると思うけど(笑)
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