探していたフリッツ・ラング作品をU-NEXTで発見。
次に罪を犯したら死刑になるという男が、恋人と人生の再スタートを切った矢先に冤罪で捕まった。
前科者には世間も冷たく、関係無い罪まで背負わされて事態は悪い方へ悪い方へと進む。
周囲の状況によって善にも悪にも転がっていきそうな、単純で短気な男を30代前半のヘンリー・フォンダが上手く演じている。
純心で自分の信念との狭間で迷っていたシルヴィア・シドニーが、世間に裏切られた事をキッカケにズブズブと男の共犯者になっていくのがリアルだった。
彼女の指示に従った為に運に見放された男への罪滅ぼしか、愛か同情か、我が子を守る母親の様になっていくのだ。
ラストに来て「あ!コレはあの映画の…」と気付く。
80年以上も前の作品なので意味不明な邦題は仕方ないとして、原題"You only live once"からすると主役はシルヴィア・シドニーで、周囲の反対を押し切って自分の選んだ道を猛進する彼女の生き方がテーマなのだろう。
一度しかない人生をどう生きるのか。
白黒作品というのもあって画面から伝わる緊迫感がそこかしこにあった。
それにも増して一般市民のずる賢さをしっかりと強烈に描いてるのもフリッツ・ラングらしい。