かすとり体力

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離のかすとり体力のレビュー・感想・評価

3.8
名作と名高い本作。

「列車の中で偶然出会った一組の男女。二人は意気投合して列車を途中下車し、ウィーンの街をあてどもなく歩く。しかし楽しい時間はあっという間に過ぎ、やがてお互いの生活に帰る朝がやってくる......。」
というあらすじの時点でもう既にエモし!

実際に観てみるとホントもうこのあらすじの通りなんだけど、想像以上にエモかった。

何作か前の私の『窮鼠はチーズの夢を見る』のレビューで、「恋愛の一領域、『正しくない恋愛』の美しさ」を描いていると言及したが、本作は恋愛の別領域、「刹那的・時限的な恋愛の美しさ」を高純度で抽出することに大成功している。
っていうかそれしかしていない笑

「この一夜しかない」っていう関係性が持つ切なさ・哀しさと、その儚さが放つ圧倒的な煌めき、多くの人が人生で一度は経験したことがあるであろう「あの夜の感覚」を再現してくれているとも言える。
(歌でこれをやってくれるのがサザンオールスターズの『LOVE AFFAIR~秘密のデート』と思料)

そしてそして、ラストの二人の約束、これをやっちゃう力学も分からずにはおれない。

半年後に会おうという約束、あれ、別に実際に会うか合わないかは問題じゃないのな。

「関係が閉じていない」「関係が未来に拓けている」という可能性が必要なんだよな。
そう考えると、我々人類ってほんと可能性を食べて生きる生き物だとつくづく思う次第。

めっちゃ良かったので、次作の『ビフォア・サンセット』が早く観たい!
かすとり体力

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