ひで

ビフォア・サンライズ 恋人までの距離のひでのレビュー・感想・評価

4.4
美しい詩的な会話に、ウィーンの街並み。
夢の中にいるみたいだという台詞は、まさにその通りだと思う。
終わりがわかっているからこそ、それまでの束の間のひとときが燦然と輝く。

印象に残ったシーンをいくつか。
占い師の、人はみな星くずなんだという言葉。ここで2人の気持ちがふっと軽くなったように感じた。互いを異質な存在としていたところから、同じ立場で話をするようになったと思う。また、星くずという刹那的なものに、2人の夜明けまでの関係が重なる。
本心を語るのにすごく良いと思ったところで、友人に電話をかける設定で会話するシーンがある。直接面と向かっては言えないような恥ずかしいことも、この設定を用いれば何でも言えてしまう。それでも少し照れている2人がすごく可愛く見える。

別れの朝が近づくにつれ、思いが溢れていく様子と、言葉の選び方がすごくロマンチックだった。
連絡手段を持たず、再会を口約束でする2人の不安と希望の入り交じる表情たるや、忘れられるはずがない。

純粋な恋の映画。
ひで

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