新尾道三部作の第三部目作品。じいちゃんと孫のひと夏を、大林宣彦節炸裂で描く。孫のボケタことユウタが事あるごとに言う「ヒャッ」が可愛い。
二人の夏が少しずつ擦り寄り、一つになる描写が上手い。本当に自然に不思議な世界へとこちらを連れていってくれるなあ。
尾道が過去作よりも多少開発されている様子が映し出されてはいたものの、やはり美しい風景が広がっていることには変わりない。けれどもまあ、その多少が監督にとっちゃあ悲しいのだろうな。
爺と孫の密かな交流に温かな気持ちになるが、垣間見える監督の心理の表れを掬いとると切なさも胸の隙間に残る。
