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帰郷のkoyaのレビュー・感想・評価

帰郷(2004年製作の映画)
5.0
今では、テレビやCM、映画で大活躍の西島秀俊さんですけれど、この映画の頃(2004年頃)って映画中心で、どちらかというと「いいようもない疲労感の人」という感じで今みたいにカッコイイ役とかあまりなかった頃の名作。

舞台は千葉県の白浜町あたりで、もう、房総半島の先端あたり。
お花畑が有名で、まぁ、それ以外は何もないところだが、そのがらんとした感じに海がある、というのはとても好きな所です。

突然の母(吉行和子)の再婚のはがきで、地元に帰ってきた息子、春男(西島秀俊)そこで偶然、8年前、付き合った後行方がわからなくなっていた深雪(片岡礼子)と再会。
7歳になる娘がいて、離婚して地元に帰ってきたという。

まだ深雪に未練がある春男ですが、深雪は娘のチハルを置いて失踪してしまう。
チハルと行動を一緒にする春男ですが・・・・もしかしたら、自分の子?という疑問を抱きつつ、徐々に父性に目覚めていく。
春男は「冗談も言えないけれど、嘘もつけない人」であって、そういう役って西島秀俊さんの本領発揮だったかなぁ。

小品映画の良作に次々と出ていたころの西島さんの一番いいときかもしれません。
最初に、電車の中で、口をへの字にして憮然としている表情がこれだけ似合う人もいない。目が死んでいるというか、どこを見ているのかよくわからないふらふらした視線・・・目のこういう演技はこの人、すごいと思う。

チハルと春男が、神社のお祭りに行った時

「あれは何?」
「狛犬」
「なんで狛犬って言うの?」
「それはわかりません」

っていう他人行儀な会話に笑ってしまいました。こういう会話って大切。
2005年新宿武蔵野館で観た時も、余韻の残るいい映画だなぁ、と思ったけれど、脚本は監督と利重剛監督のオリジナル脚本。
最近、こういうオリジナル脚本ものを観ていないです。
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