ウルフガー

野獣狩りのウルフガーのレビュー・感想・評価

野獣狩り(1973年製作の映画)
-
アマゾンプライムにて視聴。伴淳三郎、藤岡弘、主演の73年の刑事モノ。私は知らなかったんだけどなかなか凄いというか渋い映画だった。コーラ社の社長を革命集団が誘拐してうんぬんという話だがあまり話そのものは見るべきものはない。芝居、撮影、アクションに力入っててビックリするシーンがいっぱいある。

71年に「フレンチ・コネクション」「ダーティハリー」があるから恐らく日本でもああいうのやってやろうぜってことだったんだろうけどワンカットの追跡シーンや街中のゲリラ撮影などはリアルかつ緊迫感があって試みはちゃんと成功している。伴淳の芝居、藤岡弘、のギラギラ感もいい。

退屈なシーンもなくはないがまあしょうがないか。それより当時の日本の様子を捉えた映像が生々しくて迫力がある。やはり映像に力があると見入ってしまう。ところどころのオーバーアクトや赤すぎる血糊や捜査の段取りの疑問とかそういうのは吹っ飛んでしまう。

真面目に批評をするなら野獣が何を指しているのか。犯人たちでは絶対ないんだよな。むしろ革命家たちは野獣などではないという描き方をしている。この謎が気になるのと、藤岡弘、の抱えているものがイマイチ作品内で機能しておらず空回りしているように見える。

主人公と犯人が対の存在になっているとか、そういう因縁や絡みがあればドラマ的に盛り上がるし、刑事モノはたいていそういう作りになっているんだけど、そういうものが見えてこない。ので結構淡白に終わってしまう。そこがまあ不満と言えば不満。
ウルフガー

ウルフガー