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泥の河のmsyのレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
4.5
昭和30年リアタイの映画かと思った…
1981年の作品とはビックリです。

あの3人の子どもたちは子猫みたい。
高いところから落ちても
柔軟に着地する感じ。
いきがったり拗ねたりしないで
出来事全部受け止める。
フニャフニャだよ〜🥺
小津映画(そんなに見ていないけど)の
子どもの方がよっぽど
憎まれ口たたいてヤンチャな気がする。

船に住む銀子ときっちゃん。
ただピュアでいい子たちではなく
多面的かつ繊細に描いてあった。
銀子はアダルトチルドレンで
饒舌になってる姿は
かわいいけれど危うい。
きっちゃんのいびつさも最後に姿を現す。

ノブちゃんは
ちょっとヘンやなって思いながら
きっといい育て方されてて
バイアスかかってないから
まっすぐ2人の目を覗きこんじゃう。

その子どもの世界が美しかった。
残酷さを排除してあった。

そして、
藤田弓子って昔はコケティッシュで
かわいかったんやなあ
とか思いながら観てたら
加賀まりこに驚かされる。
この美貌ネタバレと言っても過言ではない。
映画観る前に
先に画像検索とか絶対しないでほしい。
なんだろう、藤田弓子とまさに
「ママと娼婦」のバランスだった。

きっちゃんが穴の空いた靴で砂遊びする
場面がすごく良かった。
モノクロやからアート感もマシマシ、
貧しい境遇と子どものピュアさが
美しく浮かび上がる。

この感じにちょっと緩急付けて
エンタメの色付けたら
パラサイトみたいな、社会問題はらみつつ
めちゃくちゃ面白いっていう
すごいのできそう。と思った。

でも加賀まりこが十分エンタメな上
脇役が豪華でいい味出しすぎ
田村高廣の関西弁もいい味すぎ、
何かとぼけてて
すでに緩急素晴らしく
完璧と思える作品でした。
こんな映画が日本にあったんやなあ…
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