かー

泥の河のかーのレビュー・感想・評価

泥の河(1981年製作の映画)
4.2
「もはや戦後ではない」戦後の話。

子どもたちの演技が自然で可愛らしかった。
あと、ロケーションがものすごくよかった。川を挟んでたった数十メートルの距離なのに隔たりが見えて、建物の構造とかそこからの見え方とかが面白くて画としても飽きなかった。
きいちくんがお祭りで小銭を落としてからのくだりが切なすぎて涙が出そうになった。屈託がないように見え、どこか無理して笑っているような笑顔。
加賀まりこはどこで出てくるのかなと思っていたら数シーンだけれどインパクトがすごかった。めちゃめちゃ美しかった。
父親の最後の表情が怖かった。父が子を見るのではなく、男として男を見ているように見えた。

「子どもは望んで生まれてくるわけじゃない
、親を選べない」冒頭でお父さんが言った言葉がこの映画の肝であり、そこには戦争といういうものの影響も見える。戦後10年経ってなおなんの関係もない子どもたちの関係性にも影を落とす様が垣間見え、戦争はその後の人間たちにも無意識のところで影響を与え続けてしまうものなのだと感じた。
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