ボブおじさん

シャインのボブおじさんのレビュー・感想・評価

シャイン(1996年製作の映画)
4.1
ピアニストとして天賦の才能を持って生まれた息子と父親の歪んだ愛の葛藤を描いた物語。実在の天才ピアニスト、デヴィッド・ヘルフゴットがたどった激動の半生を名優ジェフリー・ラッシュが圧巻の演技で演じ、第69回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した。このジェフリー・ラッシュの演技だけでも映画を見る価値はある。

息子の才能を最大限伸ばしてやりたい、親であれば誰もが思うことだろう。だがこの父親いささかそのスパルタが度を越していた。スポーツの世界には身代わりアスリートという言葉がある。自分の果たせなかった夢を子供を通して叶えようとして、親が子供の気持ちを蔑ろにして、徹底的に鍛えることだ。

結果的に子供がトップに上り詰めれば、それは美談となり、失敗すれば親が子を潰したと言われることになるのだろう。音楽の世界でもよく聞く話だ。厳格な父親の重圧に耐え切れず、ついにヘルフゴットは精神に支障をきたしてしまう。

そんな彼が周りの愛の優しい力によって奇跡的な再起を果たす姿には、心打たれずにはいられない。全編を彩る美しいピアノの旋律の大半も、実際にヘルフゴット本人が弾いたものだ。

〈あらすじ〉
オーストラリアのメルボルンで生まれたデヴィッド・ヘルフゴットは、幼いころから天才的なピアノの腕前を発揮する一方、家庭では厳格な父親ピーターのもと、アメリカ留学の話をもらっても反対されるなど精神的な重圧にあえいでいた。やがて青年となった彼は父親の反対を押し切ってロンドンへ留学。ところがある日、ピアノコンクールの舞台で演奏を披露した直後に倒れ、以後、精神に支障をきたしたまま苦難の日々が続くようになる。


公開時に劇場で鑑賞した映画をDVDにて再視聴。