ランボーでありたい

プライマーのランボーでありたいのネタバレレビュー・内容・結末

プライマー(2004年製作の映画)
2.6

このレビューはネタバレを含みます

”世界一難解なタイムトラベル映画” ”最低でも5回見る必要がある” という挑戦的なふれこみの超低予算自主制作SF

偶然過去に戻れるタイムマシンを開発してしまったエンジニア達に起こるタイムパラドックスサスペンス
インディペンデント映画の祭典。サンダンス映画祭で審査員大賞を受賞(審査員のみなさんはさぞかし優秀な知能をお持ちなのね)

SF映画人気ジャンルのひとつタイムトラベルもの。
”タイムマシンでタイムトラベル” ”複製される自分” ”タイムパラドックス” の映画。
なんとも金のかかりそうなキーワードである。この難題を7000ドルという予算で仕上げサンダンス映画祭で観客を熱狂させた知恵者はいったいなにものか。
製作・監督・脚本・編集・音楽・美術・主演など何役もこなし、超ワンマンでこの映画を作ったのはシェーン・カルースなる人物。エンジニアの仕事をやめ、映画製作素人ながら何年もかけて完成させたようで、その情熱は半端なものではない。
話題になってホントによかったね。

難解な映画と知り覚悟して鑑賞したのだが心が折れるのは早かった。
映画開始早々に科学のウンチクが始まりどれが考証に基づいていてどこからがSFなのか理系でもなく学があるわけでもない自分には理解できるはずもなくすでに混乱・・・。(後に本筋と大して関係ないと知りイライラ)
タイムマシンっぽいものできちゃったと思ったらもう複製がいたりしてさらに混乱・・・。
こんな調子で初見のときは?マークがいっぱい。“同じ時間を行き来する”ってだけでも複雑なのに、複製する要素も加わり、輪をかけてこいつが厄介。見返すことを前提に作られているのかなんともいやらしい作りである。
外国人の顔・名前を覚えられない人間には拷問だろう。
2度目ないし3度目に見るときは主要人物2人を黒髪は今Ver.1、金髪のコイツは今Ver.2とか各々考えながら見ると多少わかりやすくなるはず。イヤホンのヒントもあるし。

個人的に好みに合わなかったが、ハマる人にはとことんハマる映画みたい。(考察サイト等の熱量がすべてをものがったっている)
もし仮に自分が完璧に理解できていたとしてもサンダンスのやつらと同じように絶賛できたかはわかりません。
『だから何?』って話じゃないこの映画?
はっきり言って『あの投資家はなんで2人いるの?』など今でも理解できていない箇所(説明がまったくない)がある。
でも見返すのが苦ではないくらいには楽しめました。数回みてネットに上がってる考察を呼んでやっとスタート地点に立てるという極めて難解な作品。技術よりアイディアという人。思考パズル好きにはおすすめ。

*吹き替えで見る方がまだわかりやすくていいかも。オリジナルの英語音声は録音・ミックスの技術的な問題かアフレコが口の動きとまったく合っていない箇所が散見され違和感。ただでさえ飲み込み辛い話なのにこれは致命的だろう。
9年のブランクの後、2013年に制作されたシェーン監督の次作「Upstream Color」なる作品はちょっと見てみたい。これも難解なSF?らしく日本未公開未ソフト化なのでなにかしらで出て欲しい。