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脳内ニューヨークのn0701のネタバレレビュー・内容・結末

脳内ニューヨーク(2008年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

現実と妄想の境がなく、作品とその制作過程の区別もない。演出と実人生の差も曖昧だから、病も娘も女性関係も仕事も男を取り巻くあらゆることが、ただパズルのように羅列されている。

だから、幼い娘だった女の子に全身入れ墨が彫られても、視聴者にとっても男にとっても「4歳」なのだ。

大金を得てから17年もの構想を経ても、作品は出来上がらず、頭は禿げ上がっても、作品上の時間的経過は見られない。

だが、気付けば娘は妻が11歳のときに入れた全身の入れ墨に感染症により死ぬ。妻は娘に同性愛で、自分たちを捨てた奴だと嘘を吹き込む。

自分自身を演じる俳優も飛び降り自殺し、父が死に、母が死に、娘が死ぬ。手元には何も残っていないのに、荒廃する脳内ニューヨークの中で、構想は生成され続ける。

まるで、局面的に物語が出来上がっていくように、当初の方向性が事実に伴って変化していく。

これではいつまで立っても出来上がらない。
事実、男は最後の最後まで方向性しか示さない。途中までの日記帳を自分で書き込むように。
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