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監督失格のmizukiのネタバレレビュー・内容・結末

監督失格(2011年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

二人の他愛のないやりとりがかわいかった。
がっつり不倫なのに、こんなに赤裸々なものが作品になっちゃっていいんだと思った。 

まさか由美香さんの死の現場の映像を見せられるとは思わなかった。これが死の匂いか、という独特な空気。人は誰でも死ぬのに、死の匂いを避けるのが常識となっており、とても貴重な映像。誰もこんな瞬間にカメラを回そうとは思わないし、ましてや映画にしようなどと思わない。「監督失格」とは言われていたが、そう言われながらも監督が自分の弱い部分に向き合ってこれができたと考えると、平野さんは監督であるべき人ではないか。

睡眠薬と酒による事故死となっていたが、致死量の睡眠薬を持っていたのはやはり慢性的なうつ病だったのかなあという推測ができる。誕生日を迎える2時間前が死亡推定時刻とされており、歳をとる前に、誕生日を迎えるまでに死にたいという願望があったのかもしれない。誕生日前になるとうつが悪化するという人に会ったことがあるためひどく納得した。

由美香さんのママにも平野さんにも他の仲間にも、ものすごく悲しんでもらえていて、そこに関しては良かったなと思った。自分のせいで辛い人生を歩ませてしまった、やっと人生が上向きになってきたところなのに死んでしまった、まだ楽しいことはこれからだったのに、と由美香さんのママが悔やんでいるシーンは心が痛かった。
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