さわら

監督失格のさわらのレビュー・感想・評価

監督失格(2011年製作の映画)
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採点できない。そもそも採点することが正しいのか。採点することにどれほど意味があるのか、今作を見ててずっと思っていた。なので今回は採点無し、ただし多くの人に見てもらいたい作品である。今作は見せるために作られたのではない。平野監督の、喪としての映画である。監督は林由美香が亡くなって5年、今でも喪に服している。そして、この映画を作り、完成したところで監督の気持ちが救われるとは全く思えない。ただ確実に言えることは、今作が平野監督の最高傑作であり、これ以上の作品は生まれないということである。人生をかけて作ったこの作品、これ以上に魂のこもった映画を作ることが出来ようか。もし平野監督の次回作があったとしてもそれは今作を越えられないし、そもそも平野監督がそんな作品を見る者の前に晒すとは到底思えない。最後に由美香ママの格言、「人は2度死ぬ。本当に死ぬときと、人に忘れられたとき」。胸に響く言葉である。