永井晶

ボーイズ・オン・ザ・ランの永井晶のネタバレレビュー・内容・結末

ボーイズ・オン・ザ・ラン(2009年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

主人公がボクシングをする。
それだけの知識で観たけど「ボクシング全然始めないな……」と思うほど本題は後半。
ヒロインちはるの心に傷が付いたところから人間関係の破綻がどんどん巻き起こっていく様は恋愛映画・人間ドラマ主体なのかなと感じた。
さわやかで大手企業に勤める青山がふっと「人が食べてるもの一口食べたくなる」と言った言葉で「コイツはNTRして捨てる奴だ」と分かるのは冒頭から主人公の性的自虐性を観ているからか、心が汚れてしまったからか。
社長は寡黙ながら、少ない出番の要所要所で人の好さ、人徳のある人物というのを感じる。社員旅行を兼ねた新年会であんなに和気あいあい出来る会社あるんですか? 社長と会社慕われ過ぎでは。無いのは商品開発能力・あるいは発信力だけ?
全体的にメインに出張ってくる人間はどっかしら欠陥があって、まあそれは人間ってのは欠陥があるものだなとリアルの描写に見える。
ただその中で際立つのが姉御肌のしほ。田西周りの人間関係の破綻のきっかけになった人物だけどこの人が最も善性が高い。LIGHT-NEUTRAL。
ただ映画公開の2010年でYOUは45歳。そりゃ25歳には見えねえって!
vs青山はまさかの拳自体は一発も当たらない一方的な展開。
逆にここまで一方的な試合を組み立てる殺陣の構成はすげえや。拮抗したり逆転するのが殺陣の基本じゃないか。勧善懲悪の時代劇なら違うところもあるけどさ。
屋上でのトレーニング、決闘のカメラワーク、カット割り、フェンス付きの公園というロケーション。とても参考になる殴り合いだった。

鬱屈した主人公が、意義を見つけて、努力をするようになる。でも現実は甘くないよな。それは分かるけど夢見に来てんだこっちは!

鑑賞後wikiを見れば原作は全10巻。
大体話としては折り返しの所までの映画化らしい。
しかもちはるはヒロインでないどころかアンチヒロイン!
ヒロイン不在の映画になってるなんて思わないぞ……。
スピードワゴン不在のジョジョ1部じゃねえか。
原作の脚色の妙技と言っていいんじゃないか。
永井晶

永井晶