前年の『偽りの晩餐』でのヴェネチア銀獅子賞に続いての金獅子賞なのね。ネオレアリズモの人だと思っていたけど、80年代の作品もちゃんと脂が乗っている。とにかく、ファンタジーとリアリズムの塩梅が絶妙で味わい深い。そして、ほとんどセリフに頼ることなく、映像で語れている。それこそ音量ゼロにして見ても十分に面白いと思う。寓話っちゃ寓話なんだけど、全然説教臭くなくてなんだか可愛らしいから(終盤のルドガー・ハウアーの唇の色とかは笑えないけど)、楽しんで観られてしまう。トリュフォー作品の如く、街の風景の良さが捉えられている。