超人気バンドにして最強のタフガイギターウルフに憧れる青年エースは、ライブに向かう途中で立ち寄ったガソリンスタンドで可憐な少女トビオと出会い恋に落ちる。次いで訪れた街はゾンビが蔓延していて…というストーリー。
ロックバンドギターウルフ主演でゾンビやUFO、火を噴くバイクと何でもありなB級アクションムービー。ウルフルズやスピッツのPV手掛けている竹内鉄郎監督の映画監督デビュー作です。
トビオの身を案じて引き返したエースは、なんとかトビオを救おうとするが、絶体絶命のピンチに陥ってしまう。その時、ギターウルフから貰ったネックレスの笛を吹くエース。その音色を聞いたギターウルフはエースを助けに向う。一方、ギターウルフに恨みを持つ変態オーナーもその後を追い、という内容です。
ゾンビ映画というよりは思いっ切りB級を目指して作られた痛快娯楽アクションですね。ギターウルフのPVとしての側面もあるので、当然彼らはカッコよく、ライブシーンもしっかり盛り込まれてます。とにかく自分の好きな物盛り込みながらもラブロマンスやSF、アクションにロックンロールのエンタメとしてもきっちり作り上げてます。
ゾンビが大量発生中の地方都市を舞台に、ギターウルフに憧れる青年エース、ガソリンスタンドで出会う謎の美少女トビオ、ギターウルフに恨みを抱いて命を狙う変態悪徳オーナー、レオタード姿がセクシーな武器商人の女に、ブサイクチンピラカップルが入り乱れて、空には大型から小型迄UFOが飛び交う中カオスでド派手なサバイバル・アクションが繰り広げられます。
一応、日本が舞台だけど、ギターウルフも変態オーナーも普通に銃持って突きつけ合うし、ぶっ放します。低予算だけど、ロケ地をタイに選び、タイ王国軍の協力を得て、景気よく火薬を使った爆発シーンも拝めます。それもあってか全編無国籍感が漂ってますね。
ゾンビはノロノロタイプで、メイクは「ゾンビ」や「ヘル・オブ・ザ・リビングデッド」みたいな緑色に近い青メイクです。タイ王国軍の兵士やその家族が演じていて数も結構多めです。肉喰いちぎるシーンも少ないながら盛り込まれてます。銃による頭部破裂シーンはCGを使っていて、血糊は派手に飛び散るけど生々しさは無くて、ゲーム的な爽快感感じさせて本作のポップさにはあっていたと思います。
ギターウルフは本作で初めて知りましたが(近年ビールのCMにも出てましたね)黒の革ジャンにサングラスでキメた頭悪そうな直球ロッケンローラーっぷりがカッコイイ。エースの前に幻影として現れたセイジが放つ「愛に国境も男も女も関係ねェ!やっちまえー!!」という台詞は名言。
カッコだけは一端だけどヘタレなエースがトビオの秘密を知って、思わず逃げ出しちゃって、でもトビオの悲鳴聞いて自分のヘタレぶりに後悔しながらゾンビに立ち向かっていく展開も熱くて良いですね。ゾンビに取り囲まれたエースの前に「待たせたな」とセイジが現れる所はベタベタすぎるけど熱いですね。ギターのピック手裏剣みたいに投げてゾンビ群倒す所は笑った。
名バイプレイヤーの森下能幸と種子演じるチンピラブサイクカップルも、最初喧嘩したりしながらも、お互い思い合っているキャラが良かったですね。ゾンビになった後もお互いの名前呼びながら彷徨って、漸く出会えてキスする所も見た目はアレだけど感動的。しっかりラブストーリーしてます。
しかし何といってもギターウルフの命を狙う変態オーナーが、ヒゲにオカッパにピチピチのホットパンツ姿で奇声あげながら追い掛け回す姿が強烈です。終盤では目からビーム出してUFOから何から爆発させまくるしもう無茶苦茶。
セイジがギターソードで巨大UFOを一刀両断するクライマックスには開いた口が塞がりません。ラストは何だかひと夏の思い出みたいな感じでしめるし。
ゾンビが出てくるロックンロールな痛快娯楽アクションとして見ればより楽しめると思います。