Sari

野のユリのSariのネタバレレビュー・内容・結末

野のユリ(1963年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

2021/02/14 WOWOWプラス(録画)

シドニー・ポワチエが黒人として初めてアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品。初めてタイトルを知ったが、心が洗われる素晴らしい作品だった。
東ドイツからアリゾナに派遣された修道女達の元に、車の故障で偶然立ち寄った黒人青年ホーマー・スミス。彼女達は戦争で破壊された教会再建を任されたものの、女手のみで、英語も分からず資金もない…そこへやってきたホーマーを神が遣わせた男と強引に引き留めるマザー・マリア。ホーマーが質素な食事の御礼に、強情なマザー・マリアと修道女に英語を教えたり歌を共に歌うことで心を通わせ笑顔になる様が微笑ましい。
最初はいやいやこき使われていたホーマーが、建築現場の経験があり人生でひとつ何かを遺したいと、やがてひとりで教会を建てる事を決意。
頑なに他人の手出しを拒んでいたホーマーの元へ、噂を聞いた村人までが自然に援助に集まり団結して教会が出来上がる様に胸を打たれる。
ホーマーが去る瞬間の最期まで「サンキュー」と面と向かって言えなかったマザー・マリアを演じたリリア・スカラの名演も素晴らしい。
押し付けがましさのないコミカルな演出を交えながら、人種差別撤廃と宗教間を超えた真のリーダーの在り方の提示、そこに上司自らが率先することで部下がその背中を見て動くといったビジネス社会における普遍性メッセージも受け取れる。
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