けーはち

野のユリのけーはちのレビュー・感想・評価

野のユリ(1963年製作の映画)
3.5
アリゾナの荒野の真ん中の地に住む東ドイツ亡命者のカトリック尼僧たちが流れ者の黒人青年を引き留め、そこに立派な教会を築くコメディドラマ。シドニー・ポワチエが何だかんだ文句言いながら色々引き受けてしまう人の良い青年を好演。シスター達の規則正しく厳粛な生活や信仰の型にハメようとする頑迷さ、助けてくれた人ではなく神に感謝を捧げる図々しい傍若無人さに面食らいながら、マイペースで楽しく歌って踊って教会作りの先頭に立ち、やがて現地住民やメキシコ系移民が手を貸して、立派な教会が建つ。人種や宗教の違いはあれど、この国では皆助け合ってやっていこうぜ、というメルヘンチックなお話。当然現実はそうは簡単に行かないのだけど、だからこそ、素朴な善性の話がじわりと沁みる。ゴールドスミスの音楽もテーマ曲「エイメン」をカントリー、西部劇、ゴスペル、ジャズを混ぜ合わすようなアレンジで物語を彩る。