三四郎

モダン道中 その恋待ったなしの三四郎のレビュー・感想・評価

3.5
ナレーション付きは映画じゃない!映画は構図と科白で勝負しろ!と思っているが、この作品はなかなかどうして面白い。ロマンチックコメディ観光珍道中記といった感じかしら。
佐田啓二と高橋貞二の飄々とした感じも良いし、岡田茉莉子のコメディエンヌぶりもまたイイ。
素晴らしく美しく、理知的で象牙のように冷たい顔、しかし心の中は火のような情熱が燃えている…『今ひとたびの』にもあったような科白だ。この科白に高峰三枝子を連想するのは私だけだろうか。
「たしかヘルマン・ヘッセだと思うんですが、何故旅に出るかという質問に答えて、『わたくしは郷愁を懐かしむあまり、旅に出る』と言ってます」いつかこれ言いたい笑
「今ね、熊が私の頬っぺた舐めていきましたわ笑」「ごめんなさい!私ねずみどしなのよ」やっぱ、岡田茉莉子にはコメディがよく似合う。自然で軽快で目がクリクリと大きいのに表情豊かで、巧い女優さんだったんだなぁ。
後年のインタビューで「最近の若い女優さんについてどう思われますか?」という質問に、「あの方たちは女優じゃありません。タレントさんです」と答えたそうだが、そう言えるだけの実力が彼女には確かにある。
メンデルスゾーン、ショパンにシューマン…このクラシック趣味シーンは山田洋次脚本だろうか?
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