れいん

グリーン・デスティニーのれいんのレビュー・感想・評価

グリーン・デスティニー(2000年製作の映画)
4.5
大学生の頃に観ました。LOVERSを観たらどうしてももう一度みたくなって!
これ、20年以上前の映画??ってくらいによくできているんですよ。景色、俳優、衣装、建造物、アクション、音楽、全てが良い!他の方のレビューを読むと、今時のCGと比べるとワイヤーアクションなんて古くさ笑 みたいなのを見かけるんですが、私のような80年初頭生まれの世代は慣れ親しんでいるので「うわぁーっ!かっこいい!!!」としか思えないんですよね。小学生の頃よくテレビで香港映画等をワクワクして観ていたので。軽々と自由自在に水の上や建物を駆けていく姿はCGでも良いけど、人間がちゃんと実際に体で動いているのでリアリティあります。
ストーリーは知らない言葉や武侠の世界やその時代の暮らし等があるので、そこに引っ掛かると置いてかれちゃいますけどほとんどアクションなので気にせずで良いと思います。
ミシェルヨーさんの美しさとしなやかさと力強さにみとれます。大好きです。チャンツィイーさんは可愛いのに激強ですごくかっこいい。子どもみたいに幼いのにたまに妖艶さが際立って恐ろしく感じます。チョウユンファさんは貫禄がすごくてすごい使い手なんだろうなってのがビリビリ伝わってきます。
この映画って不思議なのは通して観て思い返せば、静かなのに静けさのなかに苛烈さが綴じ込められているんです。じわりじわりと熱さを燻らせているという。男女の愛も長年の愛情も、格差の愛も、復讐の怨念も家族の絆と家族の切っても切れない鎖のような関係、途方もない修行とか。ストーリーがよくできています。ただのワイヤーアクション映画ではないのも素晴らしい。中国の歴史風景が広がるのを見ていて、なるほどなぁとか思っていると突然に砂漠のような荒野と異国風景が広がるので面白い!となります。なので不思議感覚になるのでしょうか。
重苦しいシリアスが続くのかと思えば、急におもしろアクションが挟まったりするので緩急が見事です。
私的に、シューリンはイェンに対して嫉妬を感じているのかとずっと思っていました。弟子の力量としても好きな人と共にいることのできる女性としても。ムーバイがイェンに向ける感情に少し疑問を感じていたのでは?と少なからず思っていたのじゃないか……とか。最後の悲しいシーンで吹っ飛んでいきましたが。全てその対象がこの世から消えてしまったらそんなのも無意味になってしまう。存在してくれるからこそ、嫉妬という感情もあるのに。シューリンとムーバイは本当に切ない。でもイェンとローも切ない。愛って難しいです。
この映画が大好きな理由が強い男性VS女性のバトルシーンよりも、強い女性VS強い女性のバトルシーンがたくさんあるからです。ミシェルヨーVSチャンツィイーのバトルシーンは見ごたえありです。20年経っても色褪せなく心に残っていたほど。ただ画面が真っ黒なので真っ昼間に見ると光が反射して見づらい、そこを気を付けていただきたいです。
イェンの食堂で大暴れするシーンは豪快で爽快で可愛さが溢れててめちゃくちゃ良い!これぞ香港中国映画って感じでした。
最後の山から落ちていくシーンはとても悲哀でした。叶わないだろう願いを叶えるために落ちていったけど、エンドが明らかになっていない終わりというのは寂しくも悲しくもあり想像を掻き立てるものですね。映画の登場人物、全てがどうなったのだろうか。ボーが以外と最後まで生き残ったのがちょっと面白かったです。イェンのお母さんは性格悪そうな金持ちの家の女感が出ていてすごい良かったし、師匠は性格の悪そうな女中ババァな感じが出ていてすごく気持ち悪くて良かったです。粘着性と女の嫉妬の塊って感じ。

調べたら続きがあるの知らなくて、驚きました。しかも死んでいたはずの……みたいなことが書いてあってそんな都合の良い展開笑 ってなりました。頼むからシューリンを幸せにしてやってくれよと思いました。
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