イスケ

カラビニエのイスケのネタバレレビュー・内容・結末

カラビニエ(1963年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

「もうええわ!」とツッコまずにいられない、カラビニエが戦争で手に入るものをつらつらと言い並べていくシーンに苦笑いw

後半では逆に、戦争から帰還した兄弟が土産の絵葉書についての解説を延々はじめて、もうええわと。

彼らにとっては存在しないも同然の王様により、手に入らない人参をぶら下げされ、手に入ることもない戦利品を持ち帰る。


とてつもない違和感を次々と投入して、寓話化された戦争映画を誰にも真似できない形で作り上げてるなぁ、凄いなぁ。

こんな作風でありながら難解さは無く、メッセージ自体はシンプルかつ分かりやすいのが良いですね◎


とにかく「無垢」を感じる映画でした。
もちろん象徴的な存在は弟のミケランジェロ。
そして、そんな彼を見ていて思い出したのが、フルメタル・ジャケット。

あの作品は、訓練でとことん追い込むことで、今ある人格を破壊し、赤ん坊同然にすることで、「戦争は正しいことだ」という新しい価値観をゼロから植え付けていくんですよね。

戦争は普通だった人をも殺人マシーンに変貌させてしまうという、内部的な悲劇も生んでいる。

兄弟は、当たり前のように無実の人間を射殺するし、性的搾取(っぽいこと)もしてみたりする。
日本でも慰安婦問題なんかが有名ですが、洗脳状態にある彼らは当たり前のことをしていただけにすぎない側面もあることは否めない。

ラストで兄弟は戦争犯罪人のように射殺されてしまうわけですが、彼らにも言い分はあると思いますよ。

「あの場所ではみんなやってたことでしょーが!」

戦時下では、今朝正しかったことが明日には180度変わっても何ら不思議じゃない。
そんなことを思わせるラストでした。


トークショー付きの回を観てきたんですが、その時にパネラーの方が、「ごっこ遊びのよう」とおっしゃられていて、言い得て妙だなと。

銃でスカートを捲ってみたりするのにそこでは「どうして良いか分からない」かのようにフリーズしちゃってるくせに、「上流階級の風呂場」の映画では大暴れする様子とかw

こう言っちゃ不謹慎ですが、声出して笑ってしまったよ。


ところで、ミケランジェロって今だとバリー・コーガンあたりがハマりそうですよね。
妹はアナ・デ・アルマスに似ていたな。
イスケ

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