Uえい

カラビニエのUえいのレビュー・感想・評価

カラビニエ(1963年製作の映画)
3.0
しばらくぶりにゴダールに挑む。冒頭からボルヘスの引用、ヴィゴへの献辞で始まり身構えてしまったが、戦争の愚かさをゴダールなりに再構築した寓話のようなストーリーで結構見やすかった。

とある王国が舞台で、小さな家に男女四人が住んでいた。ある日カラビニエと呼ばれる兵士がやってきて男二人が徴兵される。そして、戦争に行けば何でも手に入ると唆され、戦地に向かった。

戦争ではひたすら市民を処刑した。徴兵期間が終わり自宅に帰るが、なかなか戦利品が貰えない。カラビニエに状況を尋ねにいくが、王国は戦争に負けてしまっていたのだった。

徴兵される男の一人ミケランジュがバリー・コーガンのような雰囲気で、少し間抜けな所があるけど愛らしいキャラクターだった。映画館で列車が向かってくるシーンに驚き、女性の入浴シーンではスクリーンに近づき浴槽を覗こうとしていて笑ってしまった。

純粋な若者が騙されて戦争に向かい、いいように扱われて始末される。そんな皮肉に満ちた内容だけど、役者と年齢設定の食い違いや、銃撃戦は音だけだったりと、ごっこ遊びのような雰囲気がコミカルさと寓話感を強めていて、何とも不思議な感覚だった。実際の戦争の映像が差し込まれているのも印象的だった。
Uえい

Uえい