佐藤克巳

兄貴の恋人の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

兄貴の恋人(1968年製作の映画)
5.0
「赤ひげ」デヴュー以来、「あこがれ」「お嫁においで」「伊豆の踊子」「その人は昔」「育ちざかり」「年ごろ」と永遠の美少女として表街道を歩む内藤洋子と、「めぐりあい」で台頭著しい一つ年上の酒井和歌子が、「若大将」シリーズで東宝トップスター加山雄三と夢の競演が実現と、期待ワクワクで映画館に飛び込んだ当時の私。「お嫁においで」は「若大将」の派生作品で主演加山の妹役だった内藤が、今度は主役妹に立場を替え、アメリカ出張から一転福岡左遷の憂き目にあった最愛の兄貴加山が、退社し川崎の叔父スナックで働く酒井に振られどん底の中、暑い真昼間に煤煙に覆われた川崎の空き地で、酒井に兄貴との結婚を口説き落とし自らの自立を促す森谷司郎監督の爽やかな青春映画に感動を受けたのみならず、田沼雄一の加山ではなく、北川鉄平が私の男の理想像となった。
佐藤克巳

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