reina

鏡のreinaのレビュー・感想・評価

(1974年製作の映画)
4.0
改めてオールナイトで劇場で観てみる。
何度観てもちぐはぐで難解な映画。
グラスをテーブルに置いて跡がつき、だんだんと消えていくシーンが1番好き。なんて美しいんだろう。(2022/07/16、新文芸坐、スコア3.7)

1年ぶりに観たら前よりスルスルとこの世界と調子を合わせることができた気がする。前回の「ちぐはぐで様々なものを繋げた作品」という印象は薄れて、それなりの繋がりが見えてきた。しかし、おそらくこれは誤りで本来は記憶の断片や思い出を繋ぎ合わせた映像作品で何か線形のストーリーは無いのだろう。映画のフレームワークとしては何だか精神療法を用いて心の奥深くへと入っていく様子と似ている。水中深くに潜っていくような感じ。精神の中に閉じ込められたある部屋の扉を開くとまた別の部屋や扉がある。先へ行くために閉めるべき扉もあれば、前に進むために開けるべきではない扉もあるのだろう。

この映画を観るという行為が水に入り、水中深く深くに潜って行くかのような経験に感じた。なんだかどこかセラピューティックな映画だった。
reina

reina