マーくんパパ

居酒屋兆治のマーくんパパのレビュー・感想・評価

居酒屋兆治(1983年製作の映画)
3.4
函館場末のモツ焼き居酒屋夫婦(高倉健&加藤登紀子)の元に集う客らの人生を散りばめた山口瞳原作エッセイの映画化。店名は肘の手術克服してカムバックしたロッテ村田兆治から、自身が肩痛めて野球断念した事から敬意を込めて命名した(と思われる)。元野球部仲間の田中邦衛、酔うと絡んでタチの悪い先輩伊丹十三、道向かいのスナックママちあきなおみら面々が寡黙な夫婦を慕って寄り集う質素な居酒屋。かつて女(大原麗子)の幸福を願って身を引いた貧しかった高倉を今でも忘れられず想う大原が何度も未練がましく無言の連絡入れたりした末に薄野キャバレーホステスに身を落として朽ちてゆくのがメインストーリーだが大原麗子の末期と重なって痛々しい。忘れきれない愛とはいえ、妻に出て行かれた牧場の夫(左とん平)や無言で見守る加藤登紀子妻に同情してしまう重たい身勝手な恋路に共感出来ずに終わった。