尿道流れ者

アギーレ/神の怒りの尿道流れ者のレビュー・感想・評価

アギーレ/神の怒り(1972年製作の映画)
3.8
荘厳なジャングルの中で繰り広げられる黄金郷を巡る冒険。風景は凄く綺麗で幻想的だが、描かれる過酷な旅が悲劇的で、物悲しい雰囲気が漂っている。撮影を含めて狂気の映画として有名な映画だが、主人公アギーレは狂っていたのか。僕は狂ってないと思う。周りの人間も狂っていたわけではない。アギーレと周囲との温度差は、アギーレの欲望への素直さ、無邪気さ、馬鹿馬鹿しさからうまれる。だが、あるかわからない黄金郷をひたすらに求めること、大樹にうちあげられた舟を手にしようとすることはそんなに馬鹿馬鹿しいか。大きな財産や絶望的な状態の中で一つある希望を求めることは誰にもある欲望である。それを求めることにみんなか絶望していて、挑戦するものをただ笑い、愚かだと蔑むが、アギーレはそれを無邪気に求めただけだ。達観すれば、偉くなれるわけでもない。アギーレの良いところはその無邪気さとエネルギーで周りを巻き込んでいっても、自分の持つ無邪気さや馬鹿馬鹿しさを周りに押し付けないところだ。自身の無邪気さを崇高なものとして周りに説き、その哲学に追従させようとしてもあさましいだけ。アギーレはただ一人無邪気に求め続けるから良いんだ。
ファイトクラブのブラピはこの映画のキンスキーの立ち姿を参考にしてたのかなってくらい動きが似てた気がする。どちらも凄くかっこよかったが。