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少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録のGTのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

 最初この作品の存在を知った時、私は「テレビ版を再構成した映画なのかな」と思った。テレビ版を全て見てその難解さに頭を捻った私としては、これをどう再構成していくのか、非常に気になるところではあった。そしていざ中身を開けてみると、これはテレビ版以上にトンでもない作品だった。幾原監督アニメの中で、間違いなくぶっちぎりでイカれた作品だ。
 テレビ版を再構成した作品だと「思った」と言ったが、これはテレビ番とはほとんど別モノだ。一応「薔薇の花嫁をめぐってデュエリストが争う」という設定自体は一緒だが、物語の根本的な部分でテレビ版と違う部分がいくつも存在する。幾原アニメにはよくあることかもしれないが、そもそもストーリーを語ろうとする姿勢が希薄な印象がある。アニメ作品というより、その抽象的な表現は、むしろ映像作品と読んでいいのかもしれない。学園の普通ではあり得ないような前衛的なデザイン、薔薇を基調とした演出の数々…どの場面を切り取っても、それはまるで絵画のような美しさがある。それにしても、ウテナが車に変身するシーンに関しては、「これはギャグなのか?」と少し訝しまざるを得なかった(テレビ版でも「車」は重要なモチーフだったことを思い出す)。
 アニメ版の「世界革命」が姫宮アンシーの「薔薇の花嫁(つまり女性性)」からの解放だとするなら、アンシーの性格がガラッと変わっているのはなんとなく示唆的だ。ひょっとしたらこの作品は、テレビ「後」の世界なのではないか。そう考えると、最後にウテナとアンシーが結ばれる展開は、ファンにとってはこのうえなく嬉しい展開だ。まぁ一視聴者の勝手な憶測というか期待なので、この部分は無視してくれても構わないけど…。あとナナミ様とチュチュの扱いに笑った。テレビ版にあったコミカルさはほぼないだけに、この部分が唯一の癒しだ。
 
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