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けものの眠りのimaponのレビュー・感想・評価

けものの眠り(1960年製作の映画)
4.6
清順というか菊村到の原作、池田一朗の脚本が優秀なのか思いの外面白いサスペンス。

長い海外勤めから家族の元に帰った定年間際の男・芦田伸介が失踪。娘・吉行和子は知り合いの記者・長門裕之に相談。やがて父は無事帰還したが、捜索していた長門は既に芦田の背後の闇に気付いてしまっていて…

主要登場人物のキャラもそれぞれ際立つ。
正直者でバカを見てきた芦田が人生の岐路で内面のけものを目醒せる過程(回想シーンが清順魅)、悪党になっても上手く行かなかったと最後に決断する行動。プロパンガス、拳銃。
記者魂が芦田一家を追い込む事になってしまうが若き長門裕之の探偵ぶり。悪女・楠侑子をはめる小沢昭一とのコンビネーションもドキドキだし、浅墓に自白していく楠侑子の邪悪な目線も良い。
長門にでこキスされスキップしてしまう吉行和子。
しかし何と言っても夫の悪事を知りながら信じ続けるしかない妻の山岡久乃が哀しくも良いのだ。
サスペンスは新興宗教までからむ麻薬密輸組織。

冒頭の鏑木創の音楽が大仰で怪獣映画か?と違和感あったけど最後のクライマックスで見事に合点が行った。

終映後ただ、ただ「あぁ面白かった」となる作品。
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