Ksato

パリ、恋人たちの2日間のKsatoのレビュー・感想・評価

パリ、恋人たちの2日間(2007年製作の映画)
3.8
パリ女とその周囲の人間にアメリカ男が振り回されるお話。

フランス人ってアメリカ人の恋愛観をうっすら見下して馬鹿にしてるってたまに聞くけど、あの恋愛観って文化的プライドみたいなもんなんすね。

主観的な観測だから根拠も何もないテキトーなこと書くけど、
恋愛や幸福の本質を形式や持続とかに据えてる人はなんとなく価値観がアメリカっぽいなぁとかは思う。
思春期っぽくて潔癖で、自分のテリトリーを乱されるのを極端に嫌がる感じというか。友達なのか恋人なのかハッキリさせたがるし、恋愛の仕方がビジネスっぽい。
ハリウッド映画の恋愛観もアメリカという国が歴史的に浅い(若い)ということと密接に結びついているような気もする。
すぐ訴訟起こすお国柄だし、自己弁護しないと奪われるっていう危機感があるのかも…?
俺のものは俺のもの、奪うなら殺す。みたいな。
それが恋愛観にも出てる。

一方で恋愛というものが文化的にも歴史の長いフランスの映画には、不倫や一時的な恋愛が多くて、その辺の違いを考えると面白い。
恋はコントロールの出来なさこそが醍醐味。
所有はクソ。過去の恋愛遍歴を話して耳を塞ぐ男なんて論外。みたいな。
一般的に俗と見做されるものの中に、というかそれ自体が聖性を帯びるということを称揚する。

あと議論好きなところも、自己弁護とかマウンティングとかってことよりも議論それ自体に価値を見出してる感じなんですね…?

昔、とある人と建築物や街並みの話をしている時に行ったこともないフランスを引き合いに出して日本の住宅の悪口言ってたら
「皮肉っぽくて議論好きだからフランスの方が気性に合うんじゃない?」という特大皮肉返しされたの思い出した。
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