Aix

魂のジュリエッタのAixのレビュー・感想・評価

魂のジュリエッタ(1964年製作の映画)
3.9
8 1/2、道、アマルコルドなどで知られるフェデリコフェリーニの代表作の一つ。結婚15年目にして夫の浮気を知ったジュリエッタの話。

宮崎駿が君たちはどう生きるかを作るのにあたっておそらく参考にしたであろう今作は、まさに女版8 1/2に相応しい傑作でした。フェリーニ初のカラー作品なのにも関わらず、怒涛の勢いでカオスに次ぐカオスが訪れ、終盤に至ってはかなりホラー味すら感じさせるのが凄かったです。セットも衣装も役者も演出も撮影も編集も照明も、もはや何から何までもが派手なんだけど、ジュリエッタマシーナは相も変わらずチャーミングだし、デフォルメされたキャラクター感に溢れていて、愛おしく撮られていました。彼女は今作が久方ぶりの映画出演にして、フェリーニとの夫婦生活を描いた自伝映画という、既にその状況だけでもカオス過ぎて笑えます。宗教とのジレンマに苦しんだり、狂想的で現実と妄想の区別がつかなくなったりするのも、フェリーニらしくて面白かったです。作品全体のクオリティは8 1/2よりも劣るとは言え、これはこれで後世に残すべき名作だと思います。
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