くりふ

フランケンウィニーのくりふのレビュー・感想・評価

フランケンウィニー(2012年製作の映画)
4.0
【死体と遊ぶな子供たち】

私は、バートン監督ここ2作不調と思っていたので、原点回帰しリハビリ企むような本作は歓迎。実際、バートン節活性化していて面白い。

蛭子能収顔電動ゾンビ犬の受難劇。一見、可愛らしい感動作にまとめているようで、何気に底意地悪い所も彼らしい。そして、古典ホラーへのオマージュで自己模倣を包み、その中から自身の復活をも狙っているような気がしました。

『シザーハンズ』の町と屋根裏の再現。愛犬復活に没頭するヴィクターが、クリスマス研究に没頭する(暴走する)ジャック・スケルトンに被ること。ウィノナ・ライダーの役が、『ビートルジュース』の小復活にも見えること。

わかり易いところでは、オマージュよりこれらの方が気になりますが、こうした語りを通してカンを取り戻せたのなら、次回作が楽しみです。

本作、うんこがキーですね(笑)。これやりたいからモノクロにしたのか?うんこつながりでスパーキーの受難が始まるせいか、その姿もうんこっぽい。復活したとき肛門外れ、電気が餌で排泄しないから余計にそう感じる(笑)。

悲しみからとはいえ、ヴィクターのエゴで復活させられたスパーキーは、電気で動く彼の排泄物かもしれない。で、彼をマネする子供たちがひり出す、排泄物で町が大混乱に陥るっていう話ですね。私はそう受け取りました(笑)。

で、子供たちのエゴサイズに、ひり出すうんこサイズが比例していると思う。その視点でトシアキ君を見ると、日本人はまだ脅威に思われてるんだろうか。

しかし不思議ちゃんが一番不可解でしたが、結果も一番トンデモでしたね。嗚呼、うんこ占いのおひげくん、よりによって飼い主の…(苦笑)。

死んだペットに会いたいという子供心は、もちろんわかりますが、理不尽でも、戻らないことで命の大切さを学ぶんじゃないでしょうか。だから子供向ディズニー映画としてみると、アレで終わらせたのは疑問です。ヴィクターの、最後の手向けの台詞がすごくよかったのに…。やっぱりキリスト教圏の映画だなあ、とも思ったりはしましたけどね。

改めて感じたのは、バートン監督はずっと同じ場所で遊んでいたいんだなと。過去作をみても、そういう感覚でまとめたものの方が面白いと思います。

凡作しか作れないようになったら、ディズニーのバックアップあるんだから、バートンワールドというテーマパーク、作ればいいのだろうな、と思った。それが実現したらマジで、一度は行ってみたいですね。

<2012.12.22記>
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