エアール

ザ・レッジ 12時の死刑台のエアールのレビュー・感想・評価

ザ・レッジ 12時の死刑台(2011年製作の映画)
3.5
とある1人の男が
タムラッカー・ビルの裏口から入り
外階段を慎重に、ゆっくりと上がっていく。
行き着くは屋上。
小屋の前に行き、へりに立つ。
この高さなら前に踏み出せば確実に命はない。

生と死の境界線に立ち尽くし
男は考え続ける
ーー約束の時を待ちながら…。

身投げしようとする男、
そんな彼を説得し、最悪のケースを防ごうとする刑事、
その光景を見つめる美しい人妻、
そして人妻の夫。

死ぬのは1人。
刻一刻と“その時“は迫ってくる…。


人妻+リヴ・タイラーという凄まじい組み合わせ。
齢を重ね、成熟さを醸しながらも変わらず放ち続ける美しさに言葉を失う 笑
親父さんのスティーヴンもさぞ自慢だろうに。まあ溺愛してるのは昔からで有名な話だから、今更だけどね。

揺るぎない信仰をもち
狂気を露わに迫るパトリック・ウィルソンもいい味出してたし、
身投げ男を必死に説得しながらも、自身の家族を思い苦しむ刑事をテレンス・ハワードが演じます
ーー見る度に思うけどカッコええ 笑
独特の発音と訛りがまた良くてね


ホリス・ルセティ巡査
病院の検査により
子供を作ることができない、男性不妊症であることを告げられる
ーー先天的な問題のようで。

彼には妻と愛する子どもたち
ーー息子1人、娘1人
がいるが
今この瞬間まで、自分の子どもだと疑わなかったこの子らは
一体誰の子どもなのだろうか?


ギャビン
ホテルの副支配人、飛び降り騒動の本人。
高層ビルの屋上のへりに立つ彼は
正午になったら今いる場所から飛び降りると言う
ーーやらないと別の人が死ぬ、と。
自分の意志でここに立っているわけではない。
彼には選択肢がないのだ
ーー現場へ駆けつけたホリス巡査に
ここまでの経緯と自分の思いを吐露するが…。

元教師の肩書きをもつ彼。
結婚したが、娘を事故で亡くす。
それが原因でできた妻との溝も埋めることができず、結局離婚へ。
現在、アパートの部屋を親友でりゲイのクリスとルームシェアしている。


ハリス夫妻
ギャビンの住むアパートの同じ階へ越してきた。
夫 ジョー
製油所でシステム管理を任されている。
曲者臭をプンプン放出させ、
とにかく信仰が厚い。
自分と世界観、価値観が異なるジョーのことをいけ好かない奴としてマーク。

妻 シェイナ
ギャビンの勤務先であるホテルへアルバイト希望で面接に来る。
美術史で宗教美術を学び、音楽を嗜む。

愛されることを望むシェイナ、
ジョーもシェイナを愛してはいるが
彼の愛し方に
心のどこかで空虚さを感じてしまい
それが埋まらない
ーー時折みせる威圧的な態度や執念深い一面にも疑問を感じている。


職場や住まいでも顔を合わせるギャビンとシェイナ
ーー積み重なることで親しくなり、お互いを意識するようになっていく…。
単なる上司と従業員の関係から
とうとう一線を越えて深く愛し合うように。


偶然か、運命か、…
誰も得をしないなんとも哀しい物語、
でも残された者の人生は続いていく
ーー喪失と哀しみ、そして微かな希望を抱えながら…。
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