言わずもがなの伝説のカルト映画。
実力よりも見た目と押しの強さ、それと運が大切な芸能界。
実力はあるが冴えない作曲家ウィンスロー。
たまに催す発表会もほぼほぼ反響なし。
女も金もない(ついでに髪もない汗)。
だが諦めない。
僕の作曲能力を世に知らしめたい。
僕は良くも悪くも欲張らない。
どうか神様。
他に何も望みません。
一度でいい。一度でいいんだ。
俺に羽ばたけるチャンスを…!
オーディション会場で偶然知り合った唯一無二の美声と美貌を持ち合わせたフェニックス。
彼女をめぐって悪魔的作曲家スワンとの切っても切れぬ因果の鎖。
前向きにどん底。
ひたむきにゴートゥヘル。
無実の罪でムショ暮らし。
歯を抜かれ、町を追われ、僅かばかりの髪も失い、顔も失い、曲を奪われる。
なにもかも奪われっぱなしのウィンスロー。
だけどなぜだか活き活きとしてる。
形はどうあれ、スワンはウィンスローを認めてるんだよな。
奪われるだけの才能が彼にあったのは事実なワケで。
ついばまれる己の分身たる作品。
墜ちていく己自身を冷静に見つめる眼差し。
やけっぱちではない地に足のついた破滅。
悲しいが騙されてると分かっていても、人は認めてもらえる事からは簡単には逃げられない。
たまに観返したくなる一本。