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マンディンゴのMtSouthのレビュー・感想・評価

マンディンゴ(1975年製作の映画)
4.0
アメリカ南部の奴隷制を扱った映画の殆どでタブー視され、忌避されてきた〈奴隷畜産業〉を題材とした異色作。
繰り広げられる蛮行の滑稽なまでの異様さと、モーリス・ジャールによる陽気で牧歌的な劇伴との強烈なコントラストに目眩がした。

作中において支配階級である白人男性もまた、家督継承を至上命題とする貴族的な社会規範に隷属する存在として描かれる。
黒人目線からの情動的な演出を排した、どこか突き放したかのようなクールでフラットな眼差しに『ソイレント・グリーン』にも通底するリチャード・フライシャーのシニカルな作家性が表出している。
まるで異星の文明を描いたSFブラックコメディかのような不条理さに、人間社会において不変の倫理や道徳など存在し得ないのだと感じた。
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