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血を吸うカメラのMtSouthのレビュー・感想・評価

血を吸うカメラ(1960年製作の映画)
4.5
『ラストナイト・イン・ソーホー』の公開に併せて観賞。
幼少期に父親によって刷り込まれたスコプトフィリアに苦しむ主人公の心理描写を通して、〈撮影〉という行為に内包される暴力性を炙り出したサイコホラーの先駆的作品。
死の恐怖に歪む表情を冷酷に映すレンズとは僕ら観客の視点そのものであることに気付かされる。
学生時代のスコセッシをして「映画製作者の暗黒面を描いた傑作」と言わしめ、『タクシードライバー』をはじめ彼の作風に多大な影響を与えたという。

〈父性による支配〉と〈殺す側の欲望〉を描いた本作は、〈母性への渇望〉と〈殺される側の恐怖〉に焦点を当てた『サイコ』と相補関係にあるといえる。
サイコホラーの原点として名高い2つの作品が同じ年に、どちらもイギリス人監督によって撮影されたという奇妙な符号。
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