ちゃんしん

[リミット]のちゃんしんのネタバレレビュー・内容・結末

[リミット](2010年製作の映画)
1.9

このレビューはネタバレを含みます

社会の縮図 。

イラクのテロ組織に身代金目的で誘拐され生き埋めにされた主人公。

一般人の生命の価値、人間としての価値がどれくらいなのか?
を皮肉って表現している作品だと思う。

アメリカの攻撃によるイラクの再建の為に出稼ぎに来た一般人のアメリカ人トラックドライバー。
攻撃により職や家族を奪われたイラク人からすれば敵にしか思えない存在だ。
そんな一個人の生命など、イラクのテロ組織やアメリカ政府、会社からすればほとんど価値など無い…、政府はテロとは交渉しないし屈しない、会社は解雇通告それが現実の価値なんだということ。
これがアメリカ政府の要人や会社の役員なら話は別だったはずだ…。
たかだか出稼ぎのトラックドライバーなんか代わりはいくらでもいるし、アメリカ国民は何かしらの理由で毎日何万人も死を迎えている…。
ただ死の理由がテロに殺されるという理由なだけだ。
それほど一般人の生命など価値など無いものなのだと表現しているように思う。

もし、主人公がマスコミに現状の映像を送りそれが世間に公表されていれば、彼は助かった可能性があったかもしれない…。
事件を国際問題化して自分の価値を高めることが出来たはずだからだ。
たくさんの人がその存在を知れば知るほど、政府や会社の責任問題が発生し時間が経てば経つほど事は大きくなる。
見殺しにしてしまった政府、解雇により無責任の対応の方を選んだ会社には社会的批判が殺到する事態になる。
結局、誰もが自分の社会的な責任問題にならない限り誠実な対応などしない、逆に言えば、自分の責任問題になってしまうから事件を公にはしたくないし、責任問題になる可能性があるからこそその担当者、責任者は真剣に対応するということ。

人間という生き物は他人など所詮どうでもいいし、自分だけが上手く立ち回れればそれでいいということを端的に表していると思う。

内容的には面白くはないが、現実社会の縮図がうまく端的に描かれている作品。
ちゃんしん

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