Eike

[リミット]のEikeのレビュー・感想・評価

[リミット](2010年製作の映画)
3.0
原題はストレートに「生き埋め」。
今やハリウッドで最もギャラが高いと言われるライアン・レイノルズのブレイク前の異色作。

ポール・コンロイ(R・レイノルズ)が目覚めるとそこは暗闇の中。
ようやく取り出したZippoライターの炎に浮かび上がったのは狭い木箱の中に閉じ込められた自分の姿。
混乱しつつもポールは次第に自分が「棺桶」に閉じ込められたまま地中深く生埋めにされていることに気付いて愕然とします。
必死で脱出を試みる内に見つけた携帯電話を使って外部に救援を求めるのですが一向に埒が明きません。
そして何者かから突然コールが入ります、それに応えた瞬間からポールの命はタイムリミットに向けてカウントダウンを始める・・・。

主演のライアン・レイノルズはハリウッド・スターですが(カナダ人ですが)、本作はヨーロッパ資本が中心の低予算作。
なぜアメリカ映画じゃないんだ?と思って見てみると・・・
これは仕方ないなぁと納得。
本作、かなり設定&後味が「苦い」作品になっている。

このシチュエーションから映画を作るとすると:
・主人公がどのような経緯でその状況に陥ったかを描く回想ミステリ
・その苦境からどのように脱出するかを描くサスペンス
・外部の第三者による救出までの緊迫したスリラー
これらの要素を取り混ぜて描くのがセオリーだと思うのだが本作はそのどれとも違った展開を見せる作品になっております。
正直かなり「強引」ですが良く言えば「意欲的」な作品。

手放しで絶賛する気にはなれませんが、良くもまぁ、この設定で95分間保たせたもんだと感心させられたのもまた事実。
ただ、当時のアメリカの現状を扱った設定とかなり辛口の展開はやはりヨーロッパならではの冷めた視線があって好き嫌いがはっきり分かれそうです。

撮影には7種類の様々なサイズの「棺桶」が用意され、スペインのバルセロナのスタジオでたった17日間で撮影されたということ。
製作費は300万ドル(5億円程度)と超低予算。
過剰にエンタティメントを期待してみる事は薦められないが、演技&演出面では見る価値のある作品だと言う気がします。
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