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さらば、わが愛 覇王別姫のTATAのレビュー・感想・評価

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)
3.8
報われない想いを抱える蝶衣が辛い。
時代に翻弄される人々が辛い。
同じ国に住う人々に芸術や文化を破壊される様は本当に辛い。
長いし濃厚で気力がいるし、つらい気持ちにもなるんだけど2年に一度くらい観たくなる作品。


激動の時代に翻弄されるそれぞれの人生に胸がつまる。でも美しい。
特にレスリー演じる蝶衣の美しさと強さと脆さは絶品。レスリーチャン、もし存命だったら今どんな演技してたんだろう…
子役さん達の演技もとても好きです。特に蝶衣の子供時代を演じた子役の眼差しがいい。

コンリー演じる菊仙も嫌な女でもあるけど慈愛を感じるところもあり嫌いになりきれない。
苦しみながら母を呼ぶ蝶衣を抱きしめるシーンはちょっとグッときました(蝶衣の母も娼婦で重なる部分もあったからかな)

蝶衣と菊仙を裏切る小楼のシーンは何度みても100往復ビンタしたくなってしまう…!小楼も辛いのはわかるんだけど…

映像の色彩も美しい。冒頭のセピア調から自然にカラーになってく様、少し靄がかかったようなシーン、中国らしい赤や京劇のメイク、衣装の鮮やかな色合いも美しい。鏡の使い方も印象的。
丁寧に作られた中国映画の傑作だと思ってます。
歴史や京劇の文化を知ってると更に深く観られるはず。
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