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さらば、わが愛 覇王別姫のガクのレビュー・感想・評価

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)
4.3
淀川長治さんが溝口健二みたいだと仰った理由が良くわかる。
女性がめちゃくちゃ怖い。めっちゃ賢い。先日観た『赤線地帯』に通づる所がある。菊仙と程蝶衣は同情を集めるヒロインでありつつ、ヒール役でもある。
この映画全体の重厚感はやはり画面のチカラだと思うが、特に幼少期の修行シーンは画力が凄く、カット毎に強烈な印象を与えてきた。

ラブシーンや首吊りシーンの品の良さ。
グリム童話のような残酷さ。
とにかく圧倒されたままあっという間に171分が過ぎていった。

中国人のルームメートに覇王別姫について少し知恵を入れてもらっていた。中国人ならだれもが知ってる故事で、覇王とは項羽。楚の国の王にして当時最強の兵士。あの呂布は小項羽と呼ばれてたくらいだ。しかし人心掌握に長けた漢の国の劉邦に破れる。覇王別姫とはその寸前での楚王と姫の最後の場面。姫の女としてのプライドの高さを示す物語である。
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