しねま大福

点と線のしねま大福のネタバレレビュー・内容・結末

点と線(1958年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

見応え充分の素晴らしい作品だった。原作も読んでいたのだが、内容は忘れてしまって映画との違いはわからない。現在の感覚では地味に映るかも知れないが、俳優たちの演技にも重みがあり、丁寧なつくりだと感じた。終盤、安田の妻(高峰)が急ぎ別宅を出ようとして水槽を割ってしまうが、日頃愛でている熱帯魚をそのままにして行くさまは、死の覚悟(もう戻らない)を暗示しているようで感心した。刑事三原の熱血漢で正義感が強いが暴走気味なのが目に余るが、その強引さが結局事件の解決に繋がっていく。山形勲のふてぶてしい悪役ぶりもいつもながらに感服する。一番のお楽しみは当時の貴重な記録。香椎駅は別の場所が使われたようだが(ちなみに香椎にある香椎宮は“夫婦円満”の神さまだということである)、丸の内界隈の場面は出色。安田の事務所の看板があるのは旧そごう有楽町店(現ビックカメラ)だろうか、角が直角でなく少し斜めになっていて、左奥の線路越しに丸の内食堂が見える(角が流線型のビル)。安田と産工省の石田部長が言い争う屋上は永代通りとJR線の交差する辺りだろう。左奥に日銀、三井本館、三越が見える。まだ高速道路は着工していないようだ。カメラが右手にパンすると左に旧国鉄本社の裏手、その右は旧帝国生命本社、右端の上部に突起状の装飾があるのは第一銀行本店と思われる。中央奥には国会議事堂らしき影。この映画が公開された1958年にはまだ旧交通公社のビルは着工していないので、丸の内ホテルなのだろうか。現在はオアゾになっているのだが。ところで高峰三枝子の妖艶さには舌を巻いたが、病身と云う設定とは言え、さすがに28というのはちょっと無理が…。
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