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座頭市千両首のcatmanのレビュー・感想・評価

座頭市千両首(1964年製作の映画)
4.0

漆黒の闇をバックに座頭市の居合斬りを演武の様に連続で見せるSUPER COOLなオープニングに始まり、随所に見られるスタイリッシュで印象的な映像が本作の魅力。
例によって色々と突っ込みどころは多くて、そこはまぁ往年のプログラムピクチャーだもんな、と目を瞑って流そうと思うけど今回は脚本が…国定忠治 in 赤城山のくだりなんかは完全に余計だと思う。特段ストーリーに深みを与えてないし、かえって物語を冗長で散漫にしてしまっている気がする。オマケに忠治を演じる役者がまるで舞台劇の様な大仰な芝居で観ていて辛い。あまりにも臭いんでつい笑っちゃうけど。意図的なのかな?

若山富三郎との対決はマカロニウエスタン風味。勝新がロープを掛けられ馬に引き摺り回されたり、トミーが頭から落馬したり(事故!?)、スタントを使わないガッツ溢れるアクションはかなりの迫力。まったく二人揃ってこんな無茶なことやってるんだからホントにファンキーな兄弟だ。ただ、派手さを狙った分だけ本来の居合抜きの緊張感が失われたのはちょっと残念。
殺陣で言えば、朝モヤが立ち込めるなか罪人移送中の行列を座頭市が1カットで一気に斬り倒すシーンが実に素晴らしい。行列に斬りかかりながら疾走する市をカメラがパンで捉えるそのスピード感に痺れる。

本作の前に観た『不知火検校』のインパクトはかなり強烈だったけど、やっぱり娯楽作品として座頭市は抜群に面白い。いつもは美女に言い寄られる市が、酒の勢いで一戦交えた体臭のキツいBBAにお代を要求されるお笑いシーンも最高。
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