イチロヲ

セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズのイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
大作至上主義のハリウッドに反旗を翻しているアングラ撮影隊が、拉致したスター女優を自作に出演させようとする。漂白された商業映画の乱造を風刺しながら、アングラ映画に愛の手を差し伸べている、ブラック・コメディ。

ヘンテコな邦題が付いているが、原題を直訳すると「発狂したセシル・B」(映画創世記に活躍したセシル・B・デミル監督のこと)という意味合い。過激派で編成されている撮影隊を中心に据えながら、「アンチ金儲け映画」を痛烈に描写していく。

ジョン・ウォーターズ自身が「お高くとまったハリウッド女優の生態」を、メタ的にシミュレーションしているような内容。サブカル(アングラ映画)を基礎にして、その上にメイン(メジャー映画)が成り立っていることを、女優に諭していく語り口といえる。

撮影隊のメンバーでは、悪魔崇拝者の女の子がサイコでサイコー。主人公チームを70年代の東映で活躍した「ピラニア軍団」に置き換えてみるのも、また一興。現在の日本映画の「感動のバーゲンセール」にうんざりしている諸兄は、迷わず観るべし。
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