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バタリアンの都部のレビュー・感想・評価

バタリアン(1985年製作の映画)
3.9
本作はゾンビ映画界の始祖として知られるジョージ・A・ロメオの処女作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』のパロディ映画であるが、前提を知らずとも大いに楽しめる痛快無比なゾンビコメディとなっている。

特徴的なテンポ感を重視したエッジの利いた編集とおどろおどろしさ激しいゾンビ達の気色の悪いビジュアルが作品を大きく形作っており、今も昔も共通して求められる『ゾンビ映画のお約束』を徹底しながら、独自のコメディのセンスも中々なので、そのB級然としたルックに似合わずジャンル映画としての優等生ぶりが目立つ。

ネームドキャラとして登場するゾンビの個性も強烈で、地下室で大暴れを繰り広げるタールマンと半身女のゾンビ:オバンバの存在感は素晴らしい。他にも多種多様な笑える言動を執り行うゾンビ達の登場に暇がなく、それでいて決して舐めさせない 人類と対立する存在としての強かな側面も伺える辺り、本作の主人公はあくまでゾンビであるということを度々意識させられる。ゾンビによる蹂躙シーンに軽快な音楽を流す、対位法の応用とかこの時代からやってたのね〜……と感心。

また映画からの知識を前提としたゾンビに対する対処方法が尽く裏目に出ることへの諧謔味を繰り返しながらも、オチはまさかの……というB級全開のキレキレな味付けもクールで、時代の先取りとも言うべきセンスの迸りは見事。
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