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見えない恐怖のefnのレビュー・感想・評価

見えない恐怖(1971年製作の映画)
4.0
 冒頭のブーツのトラッキングショットからトイガン、ミリタリー雑誌への着地がもうバチバチにキマってる。
 本来劇のはじまりを告げるであろうものが尽くサスペンスの道具と化していて、脚本の運用にこだわらない絵作りが効いていた。椅子に座って少女を出迎える叔母の死体、バスルームで見守る叔父の死体、奇妙な一夜を共にする女の死体。これらは目の見えない少女にとって意味をなさないが故に、彼女と一画面で収まることで観客に緊張を強いる。(この辺りアングルよりもワンテイクワンフレームへの執着のが強いと思う)
 主観の不在は犯人にとっても同じで、それは犯人の手足のクローズアップへの執着で示される。彼が家族を捉える目線も音声も拾われない。殺意の瞬間を象徴する銃声さえ省略されている。しかし、見えないからこそ存在感がある。
 ソイレントグリーンからトラトラトラに至るまで視線を共有し劇を生むはずのものがただ存在するだけで緊張を生む、という逆説にフライシャーは割と自覚的だけど、ここまで徹底しているものははじめて観た。傑作。
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