ペジオ

見えない恐怖のペジオのレビュー・感想・評価

見えない恐怖(1971年製作の映画)
4.3
お前らそれで見えてるつもりか?

『暗くなるまで待って』と見比べて、思ったことは「目線」の違い
アチラは正統派のサスペンスを重視したが故に、全ての情報を観客に提示した上で話が進む
言うなれば「健常者」の目線で作られている感じだろうか(ヘプバーンという大スターを据えたが故に、そのスター性や強さを眺める…「観察」するという作りにならざるをえなかった故の功罪だろうか。)

対して本作はより「障がい者」の目線に寄って作られている気がしなくもなかったり(と言ってもそれはポリティカルコレクトネスに則ってと言うよりは、「盲目」という設定の活かし方という意味でだが。)
正体も目的も分からない犯人の描写など、情報は最小限に抑えられている(観ていくうちにあのブーツ自体がキャラクターに見えてくるのは面白い。)
本作を観れば誰もが唸る例のシークエンスにまとわりつく「不安」は、盲目の人たちが日常感じているそれの疑似再現なのではないかなと
有るはずのものが無いかもしれない、あるいは無いはずのものが有るかもしれない…そう考えれば澄ました顔したミア・ファローの内面の逞しさみたいなものも滲み出てきたり

そんなん関係無しに、やっぱりあのゾッとするようなカメラワークは流石フライシャー、天才の仕事だな~と
さっきまで普通に映ってた家がまるで違うものに見える様は「ほんとにしゅごい…」と感動すらする(合間に爽やかな恋愛風景を挟む歪なバランス。『ヒメアノ~ル』と通ずるものも感じた。)
凄すぎてそこをピークに後半が普通に見えてしまうのは、コッチの勝手ながら少し残念に思う

本作と『暗くなるまで待って』と『ドント・ブリース』
盲目×ホームインベージョンいう同じアイディアでここまで違いが出るとは
映画って面白いよねぇ
ペジオ

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